映画好きならこの本を読もう!
映画エッセイ、映画原作本等、映画にまつわる本を紹介しています。
作品名 | 作家 | 出版元 |
映画周辺飛行。。。。。。。。。。。。 | 阿刀田 高。。 | 光文社 |
ジョゼと虎と魚たち | 田辺 聖子 | 角川文庫 。 |
映画の香り | 川本 三郎 | 中公文庫 |
名画座番外地 「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記 | 川原 テツ | 幻冬舎アウトロー文庫 |
「映画周辺飛行 」 ↑ 映画周辺飛行(阿刀田高) 俺が敬愛する直木賞作家、阿刀田高さんの映画エッセイ。 紹介されている映画は古いもの が多いが、小説家ならでは視点、阿刀田さんならではの軽妙洒脱な語り口が楽しめる。 「情婦」と「サイコ」で観客の欺き方を比較し、「恐怖の報酬」と「激突」で車と人間のド ラマの融合を論じ、「シャレード」を素晴らしいエンターテインメントと褒め称えている。 その反面、俺と同じ“アンチ・ミュージカル派”&“アンチ・スターウォーズ派”だったり するのが何気に可笑しい。 映画好きの阿刀田さんらしいショート・ショート「心の旅路」 は、グリア・ガースン&ロナルド・コールマン主演の「心の旅路」のタイトルを拝借したも ので、「冷蔵庫より愛をこめて」(講談社文庫)に収録されている。 ちなみに俺が書いてるシネマ・エッセイは、阿刀田さんの文体をちょっとだけ勝手に真似さ せて頂いてます。 |
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「ジョゼと虎と魚たち 」 ↑ ジョゼと虎と魚たち(田辺聖子) 映画化:2003年 監 督:犬童一心 出 演:妻夫木聡、 池脇千鶴、 新屋英子、 板尾創路 この本は8本の短編が収録されている短編集で、「ジョゼと虎と魚たち」はその中の1本。 映画を観てから原作を読むと、ちょっと拍子抜けするほどの短ぁ〜い短編だ。 逆に言えば 、原作のイメージを踏襲して膨らませたという感じの映画が、凄く良く出来ていたように思 う。 「ジョゼと虎と魚たち」以外では、「うすうす知ってた」という短編が俺好みかな? 他の短編も主人公は全部、女性。 7年前に別れた男と急に会うことになったテレビドラマ 作家、結婚する気がなくて70〜80才まで遊びたいと思っているハイミスの経理事務員、等々 仕事を持つ様々な女性の恋する心理が実に上手く描かれている。 |
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「映画の香り 」 ↑ 映画の香り(川本三郎) ちょっと恐れ多いことだが、俺は実は、川本三郎さんに非常に親近感を抱いている。 しみ じみほのぼの系映画が好きで、お気に入りの監督はラッセ・ハルストレム。 俺と川本さん の共通点だ。 あと、浜村淳さんもそうだが、川本さんも絶対、映画をケナさない。 そう いうところが大変気に入っている。 この本は、映画紹介本ということになるのだが、川本さん特有の暖かい視点で語られていて とても読み心地がいい。 紹介されている映画の一部を列挙すると「キッズ・リターン」、 「Love Letter」、「ラヴソング」、「八月のクリスマス」、「ギルバート・グレイプ」、 「ウェールズの山」、「浮き雲」・・・と、かなり“しみほの映画”が多い。 この本を読 み終わると、紹介されている映画を全部観てみたい衝動に駆られること請け合いだ。 この1冊で、あなたはもう“しみほの映画”の虜に・・・。 |
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「名画座番外地 」 ↑ 名画座番外地 「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記(川原テツ) その昔(と言ってもそんなに昔でもないが)、新宿東南口に「新宿昭和館」という映画館が あった。 知る人ぞ知るヤクザ映画を専門に上映する名画座で、2002年に惜しまれつつ閉館 した。 この本は、元従業員である川原テツさんが新宿昭和館の日常を面白可笑しく、そし て切なく綴った大変貴重な記録である。 何を隠そう俺も若い頃、1度だけこの映画館に 入ったことがある。 前の方では上映中にも関わらず煙草の煙がユラユラと漂っていたし、 斜め前には腕に入れ墨をしたおっちゃんがスクリーンの健さんをにらんでいた。 気弱な俺 はそんな映画館に恐れをなし、それ以来行かなくなってしまったが・・・。 まぁ俺のこと はどうでもいいとして、この本だ。 川原さんのユニークな文章も相俟って、メチャクチャ 面白い。 お客さんのほとんどがその筋の人なので喧嘩やカツアゲが日常茶飯事にあったと いう話や、とってもユニークな従業員の方々の話、お客さんのその筋の人と仲良くなり過ぎ て川原さん自身がその筋の人になりかけたという話、そして切ない閉館時の話等々、本当に 素晴らしく面白い。 映画館、そして名画座を愛する人、必読の一冊だ。 |